ELEC同友会英語教育学会では毎年8月に「サマーワークショップ」を開催しています。
- 英語教育についてさまざまな実践、研究を重ねている講師陣による講演、ワークショップ、レクチャーと、受講者によるpractice teachingで授業のノウハウを学びます。
- ハイフレックス(対面とオンラインの同時)開催での2日間のワークショップです。(2019年までは通学制で3日間、2021~2022年はオンラインで2日間で実施)
- 参加には事前の申し込みが必要です。
2023年度最新案内をご確認ください。
◆2021サマーワークショップレポート
2020年8月12日~13日の2日間サマーワークショップを開催いたしました。今年度もオンラインでの開催でしたが、皆さまオンラインにも大分慣れてきたようでスムーズに進みました。
サマーワークショップは以下の3つのパートで進行致します。
- 基調講演
- テーマ別選択ワークショップ
- プラクティス・ティーチング(模擬授業)とホームルーム研修
1.講演
開校オリエンテーション終了後に講演からスタート致します。後半の模擬授業も意識した内容で毎年講演は設定しています。
今年は「新課程における英語授業と教師の役割」というタイトルでご講演くださいました。
2.テーマ別ワークショップ
テーマ別ワークショップは各自選択して参加する少人数のワークショップ。今年は以下の講座からの選択となりました。
各講座具体的な内容で現在必要とされる内容から厳選して設定しております。
3.プラクティス・ティーチングとホームルーム研修
このセミナーの中心と言っても過言ではないのがこのプラクティスティーチングです。各ホームルーム6~8名に別れ、それぞれのホームルームに2~3名のアドバイザーが担当いたします。参加される先生がご自分で考えた授業を先生方を生徒役として行い、実施後に、参加者全員で授業へのフィードバックを行います。
初日にはそれぞれの校種の体験授業が行われます。その年のテーマに合わせた授業です。
この体験授業の準備として、アドバイザーたちが複数回(高校は8回)集まり、繰り返しブラッシュアップしてより良い授業を目指します。
これまで対面で開催を続けてきたサマーワークショップもこの2年間はオンラインでの開催となっております。今後の開催形式は状況を見ながら決定していきたいと思います。
◆2020サマーワークショップレポート
2020年8月15日~16日の2日間、初めてのオンラインで実施されたサマーワークショップに参加をしてまいりました。
『新学習指導要領で小中高の授業はどう変わるのか』というタイトルでご講演いただきました。
特に指導と評価の一体化について詳しい事例と共にお話を伺うことができました。新学期に向けて多くのヒントを得ることができました。
続けて体験授業を受講しました。各アドバイザーがみんなで何度も試行錯誤を重ね作り上げた授業に参加できて、翌日の自分自身の授業に対する多くのヒントをいただけました。
小学校体験授業は大田区立洗足池小学校の黒木愛先生。6年生の体験授業を通して「新しい生活様式」を踏まえた外国語活動・外国語科の授業づくりについて多くのことを考えさせられました。
中学校の体験授業は小平市立小平第五中学校の上水 謙治先生が関係代名詞の導入について模擬授業を行ってくださいました。中学校のプラクティスティーチングは文法の導入について各先生が実践します。
高校の体験授業は学校法人石川高等学校・石川義塾中学校の岩瀬俊介先生がオバマ元大統領のスピーチを活用した授業を行いました。新学習指導要領の実施に向けて英語で理解する授業について多くのことを考えさせられました。
その後1日目、2日目と1講座ずつ選んで参加ができる選択ワークショップ。
選択式ワークショップ①
1A『インタラクションを促す同期型・非同期型授業の工夫』松崎 奈穂(上尾市立原市南小学校)幡井 理恵(昭和女子大学附属昭和小学校)
1B『Small stepsを意識した授業構成』八木 孝之(東京都立新宿山吹高等学校)
1C『英語科教育法再入門~指導手順・指導技術の再確認~』工藤 洋路(玉川大学)
2日目
選択式ワークショップ②
2D『「話すこと」の言語活動を円滑に行うための支援について』津久井貴之(大妻中学高等学校)
2E『教師と生徒のインタラクション』三浦 幸子(都留文科大学)
2F『中・高における領域統合型の言語活動』本多 敏幸(千代田区立九段中等教育学校)
このワークショップでしか聞くことができない内容で、自分自身の現在の課題について様々なアイデアをいただくことができました。
初日のホームルーム研修では、指導案作成や授業の組み立てについて各アドバイザーに相談をする機会がありました。自分が思いつかなかった点などをご指摘いただき、授業作りが一人だと偏っていたことを再認識させられました、このような機会に皆さんと授業作りについて相談し合い、アドバイスし合えることは本当に貴重だと思います。
授業後には参加者の皆様とアドバイザーからたくさんのご助言をいただきました。どの視点も新鮮でありかつ幅広い考え方に基づいており、授業作りの幅が広がったことが印象的でした。
あっという間の2日間が過ぎ、閉講の時間となってしまいました。
ここで出会えた先生方とは今後も情報共有していきたいと思います。オンラインだからこそ参加がかなった今回のサマーワークショップ。オンラインでの模擬授業など初めての体験が多くできました。また来年は実際にお会いするか、再びオンラインでの実施か不明ですが、必ず来年も参加をしたいと思います。アドバイザーの皆様、受講者の皆様、2日間お世話になりました。また来年お会いできることを楽しみにしております。
2019年度最新案内をご確認ください。
◆2019サマーワークショップレポート
2019年8月14日~16日の3日間にわたり、サマーワークショップに参加をしてまいりました。
初めに会長の本多先生よりご挨拶をいただきました。
早速「教え込む教育から自分たちで思考・判断・表現する教育へ」と今回のワークショップを通したテーマの一つである生徒の主体性について考えさせられました。
今年の研究大会ではこの本多先生の高校3年生の授業が見られるとのことで、今からとても楽しみにしています。
続けて都留文科大学の三浦幸子先生から、「新学習指導要領を見据えた授業作り~生徒の主体的な学びをどう引き出すか~」というご講演をいただきました。
『この3日間で何を考えればよいか、どのようなPTにチャレンジすればよいかを示してくださり、大変分かりやすく聞くことができた』
生徒の主体的な学びというと今までは英語学習へのモチベーションなどが焦点となってきましたが、新学習指導要領や最新の中教審の答申をもとにした新たな視点を学ぶことができました。
午後のメインイベントが体験授業です。これから3日間で行うプラクティスティーチング(PT)という模擬授業の実例を受講者が体験します。
この日に向けてアドバイザーは5~7回繰り返し授業を練り直し続け一つの形に仕上げてきました。
小学校の今年の体験授業は上尾市立原市南小学校の松崎 奈穂先生が実演してくださいました。
小学5年生のWe Can! 1、小学6年生のWe Can! 2の模擬授業を行いました。とても生徒役の先生方が楽しそうにアクティビティを行っている姿が印象的でした。
中学校の体験授業は品川区立鈴ケ森中学校の太田裕也先生がOral Introductionおよび英語を使用する活動の展開を中心にした50分の授業を実演してくださいました。
オーラルアプローチの考え方を中心に、検定教科書を使い、文法の導入、定着を兼ねながら教科書本文を英語で理解することができる授業でした。
高校の体験授業は東京都立新宿山吹高等学校の八木孝之先生が、「コミュニケーション英語Ⅰ」の教科書を使いながら、新学習指導要領や大学入試共通テストなどを見据えた上で、生徒が主体的に学ぶ授業展開を見せてくださいました。
通常の授業で英語を使わせながら、いかに大学入学共通テストなどに対応できる授業を行うかの一つの実例を見せていただきました。
特に外部検定試験との兼ね合いも解説で詳しく説明してくださり、どのように生徒の主体性を引き出していくかについて大切な視点を改めて認識することができました。
初日はこの後各ホームルームに分かれ、自分自身の授業作りが始まります。
自分が考えた授業プランについてアドバイザーの先生からアドバイスを頂きます。
2日目からはその授業を実際に模擬授業という形で実践しました。
授業に正解などないのでしょうが、自分が気が付かない視点で次々と新鮮な助言をいただくことができました。
アドバイザーの方々のご意見、さらには他の受講者の授業やその振り返りを通じて、授業作りの上で大切なことについて消化しきれないくらいの多くの学びを得ることができます。
参加する前は自信がなかった模擬授業ですが、みなさん優しく丁寧に、しかし必要なことを納得できるように言葉をかけてくださいました。
現場での研究授業などではなかなか聞くことができない幅広い視野や新たな時代の学び方という視点で、まだまだ勉強をしなければと決意しました。
2日目3日目の午前中はテーマ別選択ワークショップの時間です。
様々な研修会で講師をされていらっしゃる先生方のここでしか体験できなワークショップに参加をすることができます。
現在感じている様々な疑問点を共有しながら、講師の先生からのお話などをもとに、今まで学んだことが次々と想起されます。
いかに自分が見方が偏っていたか、固定観念にとらわれていたかなど、気づきに満ちたワークショップの数々で、選択していないワークショップにも参加をしかったと思わされる内容満載です。
2日目の夜の懇親会では8割の受講者が参加をされ、普段の勤務校における悩みを共有したり、先輩方のご経験を聞くことができました。
何より連帯感が生まれ、最終日には帰りたくないと本気で思わされました。
リピーターの先生も多いようで、毎年参加をしたくなる気持ちは非常にわかります。
どうしても3日連続ということで、校務や部活動の関係で難しいことも多いですが、来年も必ず調整を行い皆さんと再会したいと思います。
以下今年度の受講者の感想です。
- みんな悩みながら、でも理想は持ち続けながら・・・先生方から気づかされたテクニックも勿論ですが、教育、英語、生徒に対する気持ちの強い先生方との交流ができたことが大きな財産となりました。
- 私は遠くから来ています。三日間あるとありがたいです。一回来て、1日や半日だと素晴らしい会でもコストパフォーマンスが・・・。
- いろいろな切り口で、同じ教材がこんなに変わるのかと先生方の指導案をいただき驚きました。
- 今回仕事と被ることがなくやっと参加が果たせました!どの講座も明日からの授業に活かせるもので、大変勉強になりました。また、情熱をもって指導に当たってくださった先生方にも感謝の気持ちでいっぱいです。
また昨年度の案内はこちらをご覧ください。
◆2018サマーワークショップレポート
2018年8月16日~18日の3日間、充実した研修を行いました。当日の様子を紹介させていただきます。
開会式です。今年は沖縄、鹿児島、奈良、滋賀、福井など、全国からお集まりいただきました。若干雰囲気はまだ硬さと共に移動の疲れも感じられます。
1.最初のプログラムは本学会会長の本多敏幸(千代田区立九段中等教育学校) の講演です。講演の題名は「新学習指導要領が目指している授業」とこれからいよいよ実施される新学習指導要領についてお話し頂きました。受講者の感想:「1時間の中で、コンパクトに新学習指導要領のポイントを解説して頂き、どのように計画し、実践するかのヒントを頂けました」
2.初日午後のプログラムの一つ目が体験授業です。小、中、高と分かれ、アドバイザーが全員で作り上げた体験授業を受講生の方々に体験していただきました。小学校の今年度のテーマは「We Can!」を使った模擬授業。
中学校の今年度のテーマは「Oral Introductionおよび英語を使用する活動の展開を中心考える」。
高校の今年度のテーマは「即興的なスピーキング活動をおりこんだ授業展開を考える」。
2日目、3日目と受講者が実施するPT(プラクティス・ティーチング)の参考になるポイントや考え方が満載の体験授業です。また体験後は他のアドバイザーからも様々な授業作りの狙いの説明や、受講者との質疑応答で学びが深まっていきました。受講者からの感想:「場面をふんで段階的に効果的な発問の仕方、ペアワークなどの活動が大変勉強になりました。今後自分の実践に活かせるように勉強していきます。」翌日から始まるPT(プラクティスティーチング、模擬授業)にたくさんのヒントとなったようです。
3.初日最後のプログラムがホームルーム研修です。3日間、このホームルームでPTを行い、多くの学び合いが行われます。
アットホームで温かい雰囲気の中、それぞれのホームルームごとに色々と相談やアドバイスなどが繰り返されます。黙々とご自身の授業作りに没頭する方もいらっしゃれば、色々とアドバイザーと話しながら授業の方向性を決める方など、様々です。
4テーマ別選択ワークショップ。2日目、3日目の午前中はそれぞれの受講者が選択をしたワークショップに参加をします。12種類の中から4種類を選び、それぞれ分かれてワークショップに参加します。
アドバイザーが様々なテーマをもとに、受講者同士で対話的に学びを深めていきます。他では受けられない、このワークショップ限定の講座を受講できるのも、サマーワークショップの大きな特徴です。受講者からは「理論から実践方法まで分かりやすく教えていただきました。目的と意図を押さえ、実践に活かしたいです。」などの感想をいただきました。PTがアウトプット中心の学びだとすると、これらのワークショップで多様なインプットを増やすことができ、ますます充実した研修となります。
5.PT(プラクティスティーチング)、いわゆる模擬授業です。授業の一部を実際に他の受講者を生徒役に見立てて模擬授業を行っていただきます。初日と2日目のホームルーム研修と帰宅後に各先生が頭を悩ませながら作り上げた授業を実際に披露し、参加者みんなで良かった点や改善点について話し合います。ギリギリまでアドバイザーに相談をして、どんどん質の高い授業を目指します。
教育実習での授業経験以来の授業という方、教員歴がまだ浅く慣れていらっしゃらない方、教員歴20年異常の大ベテランの先生まで、みんなで良い授業について徹底的に考えるこの時間が、何よりの宝となります。
授業を受けた後には参加者同士で協議を行います。その協議からの学びもとても多く、またアドバイザーからはさらに別の視点からの助言などが行われます。既に良さが満載の授業をさらに質を高めることを目標に、みなさん一生懸命授業されていました。
参加をする前には、このPTが憂うつだったというご意見もありました。直前まで逃げ出したかった、参加を迷ったなどの意見がありました。しかし全員が「やって良かった」「貴重な経験だった」ともおっしゃいます。「人に授業を観てもらうのは本当に久しぶりで、貴重なご意見を頂けました」「生徒役を行うことで、生徒がどのような気持ちで授業を受けているかがよく分かりました」などのご感想をいただきました。参加者全員がそれぞれ思い思いの授業を実践しました。
6.ホームルーム意見交換会を経てあっという間の3日間の終わりがやってきました。
みなさん参加前と表情が異なります。
修了証書、もらうのは何年ぶりでしょうか。また来年お会いすることを楽しみにしております。閉会後、名残惜しくみんなで連絡先の交換をしていました。全国に仲間ができる、ELEC同友会英語教育学会ならではのワークショップです。
3日間連続の参加、模擬授業、時期の問題など、参加のハードルは色々とあると思います。しかし、様々な課題を調整し、チャレンジし、3日間を乗り越えた先には、たくさんの学びと心から切磋琢磨した仲間との関係という宝が得られるかもしれません。
◆過去のサマーワークショップの参加者の声。
- 他の先生方の授業をじっくり観察できてとてもよかったです。自分の課題を1つ1つクリアしていくモチベーションになりました。単元が同じ先生でもやり方がたくさんあり、様々なパターンを観察できました。また経験をつんでリベンジしたいです。
- アットホームなグループで温かく、見守られながらPTができたことが本当に良かったと思います。今回は2回目の参加でしたが、自分でやってみたかったことをPTの中でチャレンジできて意見、助言がもらえたので、自分の教室に持って帰りまた実際の生徒たちに試してみたいと思います。アドバイザーの先生方、本当にありがとうございます。
- 普段授業の見学や研究をすることがなかなかできないので、たくさんの先生の授業を拝見させていただき、フィードバックをいただけて、とても勉強になりました。先生方の鋭い視点、切り口の多さに感服することの連続でした。もっと勉強してからリピートしたいと思っています。授業づくりにも、色々と相談にのっていただけてありがとうございました。3日間、有意義な時間をありがとうございました。
- 日頃の実践、アイディアを共有することができ、よかった。全国に「仲間」ができたようでとてもうれしい。