リーディング研究部会

I リーディング研究部会の主要な研究活動

2015年度は、主に、次の4種類の研究活動に取り組んでいる。

☆ 研究部員は、ご自身の興味、関心に合わせ、いずれかの1つ以上のSIGの研究活動に参加している。

(1) 指導法研究SIG:「授業談話分析カテゴリー」を活用した読解指導研究

2013年度に、効果的且つ効率的な読解授業における授業分析法の開発を目指し、授業分析に関する内外の主な先行研究を踏まえ、「授業談話分析カテゴリー」を独自に開発した。2013年度以降、この分析カテゴリーを活用し、読解授業における「教師の発問、及び誘導的発問(elicitation)の改善方法と改善手順」に関する「汎用性の高いモデル」の開発を主な目的として特に下記の点に留意して研究に取り組んでいる。

教師と生徒との発話における「言語相互作用」(interactions)における言語機能(linguistic functions)に焦点をあてた授業談話分析(classroom discourse analysis)を実施している。

2013年度の大会発表では、法政大学中学高等学校の西田美弥教諭の教師発問に関する具体的な問題点、改善法と、改善のための基本原則及び手順を分析した。2014年度の大会発表では、2013年度の授業談話分析の結果から得られた問題点や改善点を省察し、主に高等教育機関における効果的な誘導的発問の改善方法と手順に焦点をあて、小山工業高等専門学校の山西敏博准教授と東京家政大学の酒井藤恵講師の授業を分析した。

2015年度は、特に研究部員各々の勤務校の各々の学習者の実態に即した発問及び誘導的発問などの改善法を探る試みに取り組み、収集した授業談話分析データに関する相互の比較分析を行う。さらに、post reading activitiesとして、修正プロセスを重視したpresentationの方法も考察する。

 

(2) 実態調査SIG: 読解指導に関する実態調査の再分析と読解指導法の開発

ELEC同友会英語教育学会の全会員を対象として2013年度7月に実施した「第2言語処理研究に基づく読解指導」に関するアンケート調査結果に、多角的な視点から精緻な分析を行っている。またその分析結果を踏まえ、第2言語処理研究(second language processing research)を援用した第2言語読解指導の示唆を考察し、具体的な指導法及び指導展開例を検討している。なお本研究は(1)の授業談話分析研究と有機的に連動している。

 

(3) 読解教材開発SIG:読解中心型大学総合英語教材の開発と分析

2014年度は、本研究部会のこれまでの研究成果を援用して、本研究部員が中心的な編集執筆者となり、「読解中心型大学総合英語教材」としてPhoenix from the Flames(CENGAGE Learning)の開発、編集、執筆に取り組み、2015年1月20日に刊行した。

2015年度は、本書の内容と構成を再分析し、他の読解中心型総合教材との比較検討に基づき、より望ましい読解教材の在り方を考察する。

☆本書の主な編集趣旨は、次の5点である。

  • 学習者の読解力の基礎の育成、習得を主な目的として論説文や説明文などのパラグラフの構成型や展開型(例えば、「時系列展開」、「問題解決」、「因果関係」、「比較対照」、「強調」、「情報統合」など)に関する理解と習熟を目指す。
  • 「代名詞の照応・指示関係」、「談話連結詞の機能」、「未知語の推測」、「要約」、「分析と統合」などの、読解に効果的と想定される読解ストラテジーを、英文題材の各々の持ち味を活かしながら相互作用的に取り入れ、より高度な読解力の習得を目指す。
  • Graphic Organizerなどの、所謂、「時系列的展開」、「概要の要約」及び「因果関係」に焦点をあてて正確な内容理解を適切に導く「読解支援型タスク」を各課に取り入れた。このタスクを通じて、正確な内容理解を踏まえ、読み取った内容に関して、学習者に深く掘り下げて考えさせることを主な目的として内容理解の「確認・整理」から「定着・深化」へと発展的に目指す。
  • 正確な内容理解を踏まえ、学習者が主体的且つ発展的な内容理解(applied level comprehension)ができるように、学習者自身の体験や知識と照らし合わせながら、関連するテーマや課題に関して深く考えさせる発問を中心とした、より自由度の高い問題解決型タスク(open-ended problem-solution task)を取り入れた。
  • 最近の大学における「グローバル人材育成」や「スーパーグローバル大学構想」という視点を勘案し、海外のビジネス場面や留学先での academic writing, presentation, discussionなどの準備や対策にも役立つように4技能統合(skills integration)型の「発信支援型タスク」を取り入れた。特に学習者が発信に役立つ表現や語彙を活用しながら発信支援型のタスクに取り組むという「足場かけ」(scaffolding)の前提的作業を通じて、学習者の熟達度に応じて、段階を適切に踏みながら自分の意見を英語で正確に発信できるように配慮した。

☆2015年度の後半からは、本研究部会の研究成果を踏まえた読解指導の専門書の編集企画と執筆に本格的に取り組む予定である。

 

(4) 実証的研究SIG:第2言語統語処理・第2言語談話処理に関する実証的研究

第2言語統語処理研究及び第2言語談話処理研究の研究成果を踏まえ、第2言語読解を困難にしていると想定される複合的な要因の解明を目指す研究及び、それらの研究成果を踏まえた第2言語読解指導法の研究に取り組んでいる。2015 年度は、特に大学生や大学院生だけでなく、高校生や高専生などの日本人EFL学習者、英語母語話者、アジアのESL学習者などを被験者とするデータも収集し、分析する。これらの研究では、先行研究としての日本人大学生、大学院生などを対象とする各種データの分析結果を踏まえ、統語処理原理の適用、統語処理プロセス、談話処理プロセス、統語処理ストラテジー、談話処理プロセスなどの差異に関する詳細な比較分析を実施する。

 

 

Ⅱ リーディング研究部会が開催する上記以外の英語教育研修プログラム

現場に即した英語指導法の改善に多方面から役立つ、次のような研修会を開催する。

(1) 「クラスルームリサーチの方法」に関する研修会

『英語教育学の実証的研究法入門-Excelで学ぶ統計処理』(研究社)を主要テキストとして活用し、実際の授業に役立つクラスルームリサーチに関する「リサーチデザインの立て方」、「各種データ収集・分析のためのタスク」、「アンケート」の作成法、「統計処理の基礎と方法」、「統計分析の方法」、「教育研究論文の構成とまとめ方」などの研修会を本書の著者などを講師に迎えて行っていく。

(2) 授業に関する問題解決のための研修会

参加者の英語教育に関する様々な疑問や授業運営上で抱えている諸問題に関して、ベテランの研究部員がともに考え、望ましい解決策を探っていく。

(3) 多方面の英語教育関係者による講演会

教育機関や研究機関の関係者だけでなく、各種英語教科書、英語学習書の執筆者、出版社の編集者、予備校講師など多方面の分野の英語教育関係者などを講師として招き、講演会を行う。内容の詳細に関しては、メルマガなどで周知する予定である。

 

[本研究部会参加希望者の方々へ]

これまでに本研究部会には、中学、高校、高等専門学校、大学などの教育研究機関の教員だけでなく、出版社の編集者、予備校の講師、ビジネスマン、大学院生、大学生など様々な方々が仕事の合間を縫って参加しています。

近頃は、各種研究機関や教育機関のどの職種の方々も業務が年々、多忙になってきております。本研究部会では、そのような多忙な先生方でもご都合に合わせて自由に参加できるような研究支援体制も備えております。

☆ ご興味のある方はぜひ下記まで気楽にご連絡ください。下記にご連絡いただければ、ご希望に応じて適切な情報をメールでお送りいたします。

 

問い合わせ先:リーディング研究部会 研究部長 寺内正典(法政大学教授)
terauchi@hosei.ac.jp
迷惑メール対策のため、@は全角になっています。)

 

 

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